ライソゾームは人体を形づくる約37兆個の細胞一つ一つの中にあり、細胞内の様々な物質を分解し、細胞機能を正常に維持しています。
ライソゾームの中には、いわゆる「分解酵素」と呼ばれるタンパク質が多種類含まれていますが、この酵素のどれかが正常に働かなくなると、細胞の中に不要な物質が蓄積してしまい、細胞の機能が損なわれ発病します。
これがライソゾーム病で、現在50種類以上ものライソゾーム病が知られており、一つ一つの病気は稀ですが、ライソゾーム病全体を合わせると、かなりの数の患者さんがいらっしゃることがわかっています。
個々のライソゾーム病の症状や経過は多彩で、正確な診断のためには専門医による詳しい診察と特殊検査が必要になります。新しい診断法や治療法の開発するために、ライソゾームの異常メカニズムを研究する取り組みが世界各国で行われています。
岐阜大学名誉教授 鈴木 康之先生監修
主なライソゾーム病
疾患グループ | 主なライソゾーム病 |
ムコ多糖症 | ムコ多糖症I型(ハーラー/シャイエHurler/Scheie病) ムコ多糖症II型(ハンターHunter病) ムコ多糖症III型(サンフィリポSanfilippo病) ムコ多糖症IV型(モルキオMorquio病) ムコ多糖症VI型(マルトー・ラミーMaroteaux-Lamy病) ムコ多糖症VII型(スライSly病) ムコ多糖症IX型(ヒアルロニダーゼ欠損症) |
脂質代謝異常 | GM1ガングリオシドーシス GM2ガングリオシドーシス(テイ・サックスTay-Sachs病、サンドホフSandhoff病、AB型) ゴーシェGaucher病 ファブリーFabry病 ニーマン・ピックNiemann-Pick病A型、B型 ニーマン・ピック病C型 異染性白質ジストロフィー(MLD) マルチプルサルファターゼ欠損症(MSD) クラッベKrabbe病 ファーバーFarber病 ライソゾーム酸性リパーゼ欠損症(LAL-D) (コレステロールエステル蓄積症・ウォルマンWolman病) |
ムコリピドーシス | ムコリピドーシスII型、III型(I-cell病) ガラクトシアリドーシス フコシドーシス シアリドーシス マンノシドーシス(α、β) |
糖原病 | ポンペPompe病 |
その他 | シスチン症 セロイドリポフスチノーシス アスパルチルグルコサミン尿症 シンドラー Schindler病/神崎病 遊離シアル酸蓄積症 ダノンDanon病 |